読書メモ「ゴールデンスランバー(伊坂幸太郎)」

さて、予告どおり今回読んだのは伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」です。久々の書き下ろし長篇とのことでもう読む前からワクワクしていたんですが、読む始めてからもワクワクが止まりませんでした。ワクワクだけでなくドキドキも止まりませんでした。月並みな表現で申し訳ないのですが、こんなワクワク・ドキドキしながら読める小説は久しぶりです。

冴えわたる伏線、印象深い会話、時間を操る構成力……すべての要素が最強の、伊坂小説の集大成!!

仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか? 

伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』 | 新潮社

ストーリーとしてはありきたりなのかもしれないけれど、伊坂氏の手にかかるとこれがもう伊坂ワールド炸裂。伏線の張り方がこれまた絶妙で読みながら何回もうなってしまいました。うーん巧いなあ、と。

全くの偶然なのですが、この小説が出る前にWikipediaで以下の項目を読んでいました。暇人ですみません。
ケネディ大統領暗殺事件 - Wikipedia
ビートルズ - Wikipedia

ストーリーとしてはケネディ大統領暗殺事件を模しているので(文中でも言及される)、上記を読んでおくとより物語が楽しめるのではないでしょうか。事件については常識だと言われてしまうかもしれないけれど、僕は不勉強ながら詳しくは知らなかったので。

そしてビートルズ史についても知っていると楽しめる。『「アビイ・ロード」は事実上最後に作られアルバムである』とか。『なぜメドレーなのか』とか。これまた常識なのかもしれませんが、なんにしても不勉強でありまして。

僕はビートルズのアルバムは「1」しか持っていなかったのですが、まあ「ゴールデン・スランバー」がどんな曲か知らなくてもいいだろう、と高を括っていたのですが、読み進めていくうちに「これは聴いておくべきだ」と思い直し、急遽借りて聴きながら読むことに。

「Once there was a way to get back homeward」と静かに歌い始める部分や、「Golden Slumbers fill your eyes」と力強く歌い上げる部分が印象的なこの曲は、まるでストーリーの結末を知っているかのように奏でられます。

ネタバレになるのであまり書くことが出来ませんが、「伊坂小説の集大成」であることは間違いないです。あまりに主人公の青柳に感情移入しすぎて読むのが辛くなったほど。伊坂作品の中でも1、2を争うほどの傑作だと思います。映画化もしそうですね、これまでの経緯からすると。連ドラ化しても面白いかもしれないけど、伏線をちゃんと思えていないと楽しめないので、やっぱり映画化が妥当かな。


そして、2008年本屋大賞にノミネートされていました!
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大賞に輝くと良いなあ。でもライバルも強そうです。先日直木賞を受賞した桜庭一樹さんの『私の男』だったり、僕も好きな作家で、現在『SP』も絶好調の金城一紀さんの『映画篇』(これ以前から読みたかった!)だったり、これまたドラマが始まった万城目学さんの『鹿男あをによし』だったり、『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦さんだったり、角田光代さんとか重松清さんとか吉田修一さんとか桜庭一樹さんとか、もうそうそうたる面々。あ、桜庭一樹さんは2作品ランクインしてるのか!

ゴールデンスランバー以外はまだ読んでないのでなんとも言えませんが、やっぱり伊坂さんに獲って欲しいな。