読書メモ「フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)」


「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」の4篇を集めた中篇集。中でも気に入ったのは表題作の「フィッシュストーリー」と書き下ろし作品の「ポテチ」。どちらも「伊坂氏らしいなあ」と頷くことができる作品です。

「フィッシュストーリー」は現在と過去をザッピングしながらお話が進みます。いつも思うことだけれど「街」っぽい。伊坂氏にシナリオを任せた「街2」が出来るならハードごと買うこと間違いなしなのに。「ポテチ」は散りばめられた伏線をうまく回収してくれるあたりに「らしさ」を感じます。

スターシステム」も本書においても健在で、「サクリファイス」「ポテチ」ではあの人物が主役で登場します。これがまた嬉しい。もちろんその人物が誰か、どの本に出ていたのかを知らなくても十分楽しめます。知ってるとより楽しめます。

一つ一つのお話は面白いんだけれど、中篇が集まっただけなので物足りなさはありますね。同じ中篇集でも「終末のフール」のような世界が統一されたもののほうが好き。これは中篇集というよりも連作短篇か。もしくは「死神の精度」のような。これまた世界が同じお話ですね。

でもこれらの連作短篇は大きなくくりで言うと長篇と変わりないのかもしれないので、やっぱり僕は伊坂氏の長篇が読みたいのかもしれません。

と言うことで次回読書メモは「ゴールデンスランバー」。


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