読書メモ

忘れてた。読んですぐに書かないと忘れてしまう。

「明日の記憶」(荻原 浩)


僕は記憶力が本当に無くて、「右から左へすり抜ける」「三歩歩いたら忘れる」「一度病院で診てもらった方がいい」と奥さんから揶揄される程なんですが、この本を読んで自分が考えている以上にその「忘れる」ことが恐ろしくも悲しいことであると実感しました。「若年性アルツハイマー」とただの忘れっぽいのを同等に考えるのは間違っているのですが、大切なことや思い出の一部分を忘れていることに気づくと忘れっぽい自分を恨めしく思うし、恐ろしくも思います。もし自分も全てを忘れてしまうときが来ても、笑って「病院に行ってきな」と言って貰えるだろうか。

「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(北尾 トロ)


裁判の知識なんて自分にも全く無く、あるとしたら「逆転裁判」の知識くらい。それにしたってナルホド君やオドロキ君のように「異議あり!」だなんて実際の裁判では言われないくらいは知っている(つもり)。でも「弁護士」が正義であり「検事」は敵であると考えてしまっていました。でも実際は逆で、「逆転裁判」のように被告が無実の罪を着せられている場合なんてありえなく、弁護士は無罪を勝ち取るために弁護するよりも、刑を軽くするためにいるような存在なんですね。なので逮捕されたら終わりじゃなくて、逮捕されてからが本番みたいなところがある。その部分を「傍聴」することによって追ったこの本は、「裁判」というものを知るための「読み物」として面白かったです。参考にする、とまではいきませんが。でも本当に、裁判員制度が始まったらどうなるんだろう。もうそこまで来ているはずなのに、以前実感がわかないのは問題なような気もします。

「椿山課長の七日間」(浅田 次郎)


著者の本はこれが初めてですが、文体にどこか古臭さを感じるものの、さすがの力量で巧さを見せつけたという印象です。泣かせる小説。映画は未見ですが配役は知っていたので、頭の中で竜ちゃん、じゃなかった西田敏行局長を想像して楽しむことが出来ました。こんな死後の世界があるのなら楽しいのになあ。やっぱり「極楽浄土」という「概念」を発明した人は偉いと思います。死んだら何もなくなるだけなのをみんなわかっているはずなのに、「極楽浄土」があると考えれば、向こうで先立った人と会えると思えば「死」も恐くなくなるもんね。