読書メモ「死神の精度(伊坂幸太郎)」


今さらと言わないでください。ここぞと言うときまで取っておいたんです。

伊坂さんの作品は大好きなんです。大好きだから、氏を代表するこの作品は読むのがもったいなくて。で、連休も終わってしまった悲しさを紛らわすために、元気を出すために読みました。一気に読みました。短編の連作なのですらすら読めちゃう。
内容ですが、当然の如くよかった。相変わらずキャラが個性的で引き込まれる。鮮やかに伏線がはられていて、気持ちよく回収してくれるし、結末を最後まで書かず読者に委ねるところが憎らしいけれど、清々しい読了感を与えてくれます。

死神の話なのに清々しいとはこれ如何に。

死なんて生まれる前に戻るだけ」と彼は言う。僕はそれに納得する。だって死んだら何もなくなるだけで、生まれ変わる訳でもなく、幽霊になるわけでもないから。そう考えると、死の何が恐いかって、死ぬ時にどんだけ痛い思いをするのかってのも恐いけれど、やはり残された人のことを考えるのが恐いんだよね。考えるのが恐いから、僕は生きている。そんな気がします。生きてるだけで十分だよ。