SUPERMARKET FANTASY

一言で言えば、このアルバムには「希望」が詰まっていた。いや、詰めていたんだろう。これは意図的なものだと思っている。こんな世の中だからこそ、せめて曲の中に希望を見出して欲しい、というメッセージなんじゃないか、というのは考えすぎだろうか。


スーパーマーケットには様々な希望が詰まっている。その希望を求めて、人々はスーパーマーケットに行く。


スーパーマーケットといえば「はじめてのおつかい」じゃないけれど、僕の記憶の奥底にあるのは、妹を連れて自宅から1キロほど先にあるスーパーへ向かったときのこと。小学校低学年の頃だろう。僕は当時大流行していた「ビックリマンチョコ」を買いに行った。子どもだけで買いに行くのでドキドキしていたと思うけれど、それ以上に親はドキドキどころか心配していただろうと今になって思う。

1キロ以上あったかもしれない、と思うのはやっぱり子どもの足だったからだろうけれど、遠かった記憶がある。いつもは車で行っていたその店まで何を思って歩いたのかはさっぱり覚えていない。妹を連れて行ったはずなんだけれど、話しながら行ったのか、黙って歩いていたのかさえ覚えていない。

覚えているのはただ一つ。ビックリマンチョコは売り切れていた、ということだけだ。しかたがないので他のお菓子を買って帰った。


ビックリマンチョコという「希望」がスーパーにはなかったのだけれど、この世界にも同様に希望がないのかというと、そうではなくて、いや、そうかもしれないけれど、例えそうだとしても、「希望」が売り切れていたとしても、「希望」を得るためにした努力というか、その工程が、経験が大切なんだと思う。ビックリマンは売り切れていたけれど、子どもだけでお使いをした経験、お使いに行かせた経験、それらを得ることが出来たんだから。

だから希望を求めたい。何処にもないかもしれないけれど。


SUPERMARKET FANTASY / Mr.Children